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帆船・快風丸で玉島、函館へゆく新島襄。
海外への夢が広がる襄はとうとう国禁を犯して脱国しようとします。

襄の憧れ…そして脱国へ

築地軍艦教授所での襄

襄、ジョン万次郎に教わる

築地軍艦教授所で学問に励む襄。教授所で教鞭を揮っていたのはジョン万次郎でした。
ジョン万次郎こと中濱萬次郎(なかはままんじろう)は漁に出ていたところ嵐に遭遇して遭難・漂流。太平洋に浮かぶ無人島鳥島に漂着して無人島生活を送ったのち、アメリカの捕鯨船に救助され、ハワイ、アメリカ本土へ渡りました。

その後、学問を研鑽して10年ぶりに帰国。日米和親条約の締結に尽力したことで知られています。
襄は万次郎からアメリカで学んだ数学や航海術を教わり、西洋の進んだ学問や技術を貪欲に吸収していきました。

ジョン万次郎
▲襄に影響を与えたジョン万次郎

開国したとはいえ、日本人の海外渡航は幕府によって禁止されていました。学問や商業目的の海外渡航が解禁されるのは慶応2年(1866年)で、まだ当時は合法的に外国へ行く手段がなかったのです。

そのような状況下、襄は法を犯してでも出国して海外で先進文化を学びたいと思うまでになります。実際にアメリカで生活したジョン万次郎の影響も大いにあるでしょう。

文久2年(1862年)、襄は麻疹に罹患。軍艦教授所を退学します。幸い治癒はできたものの、襄はどうも身体が丈夫なほうではないようで、再び目も患い、頭痛がちになってしまうのです。

襄、玉島と函館へゆく

快風丸で玉島へ

さて一方、安中藩にて襄の漢学の師であった備中松山藩の川田甕江は船を探していました。そしてアメリカから「ゴーウルノルワラス」の購入に成功します。長さ31.5m、幅6.8m、排水量155トンの木造帆船で、藩は快風丸と命名。

襄は川田の縁で、快風丸に乗船する機会を得ます。江戸から玉島(岡山県倉敷市)を2ヶ月で往復する船旅でした。生まれて初めての船旅で体験する解放感。普段の鬱屈した生活からの飛翔をまざまざと感じ、大海原の外への探求心を掻き立てられます。
玉島では襄が旧柚木家住宅(西爽亭)(さいそうてい)の風呂に入ったという記録が残っています。この初旅は襄19歳のときでした。

西爽亭
▲西爽亭(岡山県倉敷市玉島3-8-25)

快風丸で函館へ

江戸に戻った襄は友人からロビンソン・クルーソー(The Life and Strange Surprising Adventures of Robinson Crusoe)を借りて読み耽り、無人島で暮らす冒険に心躍らせる一方、漢訳の聖書のダイジェストを読み、キリスト教にも興味を持つようになりました。
当時はやはりキリスト教も禁止されていたため、隠れて読むわけです。

元治元年(1864年)、快風丸が函館(当時の表記は箱館)に向かうことを知った襄は、乗船を希望。備中松山藩経由で安中藩から許可を得ます。
途中、岩手県宮古市や青森県下風呂などに寄港したりしつつ、無事に函館に到着しました。

新島襄寄港記念碑
▲下風呂の新島襄寄港記念碑

そして脱国へ

函館からの脱国

函館に到着した襄は、五稜郭を設計建設したことで知られる科学者、教育者の武田斐三郎(たけだあやさぶろう)の学問所である諸術調所(しょじゅつしらべしょ)に英語を学ぶために入門しようとします。ところが肝心の武田が不在のためどうにもなりません。

困った襄でしたが、縁があってロシア領事館附属礼拝堂司祭のニコライ神父(イワン・ドミートリエヴィチ・カサートキン/Иван Дмитриевич Касаткин)の家に住み込むことに。ニコライ神父は「古事記」などの研究をしており、ちょうど日本語教師を探していたため、襄はうってつけだったのです。

ニコライ神父
▲ニコライ神父

ニコライ神父は襄に弟子にならないかと勧め、海外への渡航を夢見る襄を引き留めますが、襄の脱国の意向は固いまま。
そんな折、襄はイギリス人ポーター経営の商会で働く福士成豊(ふくしなりとよ・卯之吉)と出会いました。高度な造船技術を習得するために必須となる英語を学んでいた彼と意気投合した襄は、海外、とりわけアメリカへ行く夢を語ります。福士は大いに賛同し、わずか1週間で中国へ向かうアメリカ船に乗船する手立てを取りつけてきたのです。

脱国は厳罰なのはともかく、脱国に協力した者も処罰される時代。人目に付きにくい夜中に小舟の底に襄は姿を隠し、福士の手引きで沖合に停泊しているアメリカ船ベルリンに乗りこみます。船長のW・T・セイヴォリーもまた襄に協力的で、役人に見つかることなく襄はとうとう出国を成し遂げました。
函館の港には襄の海外渡航の地を示す碑が立っています。

新島襄海外渡航の地碑
▲新島襄海外渡航の地碑

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画像引用:倉敷市観光情報発信協議会(http://www.kurashiki-tabi.jp/see/248/)
風間浦村役場(http://www.kazamaura.jp/sightseeing/index.html)
函館市観光コンベンション部(http://www.hakobura.jp/)